当初五年間の返済を公庫の「ゆとり返済」では「五十年返済」、年金の「ステップ返済」では「七十五年返済」として計算し、返済額を抑える。返済期間を長くするため、月々の返済額は減るが、利息は増える。最初の五年間はほとんど元金は減らない。六年目からはそれまでラクをした分か上乗せされるため、返済額がグッとアップする。「七十五年返済」で計算する年金の方が当初五年間はラクだが、その分、六年目以降のアップ率が大きいのはいうまでもない。第1部で述べたように、公庫の「ゆとり返済」は、従来、「七十五年返済」で計算していたが、住宅ローン破綻が急増しているため、この四月から融資規制の一環として「五十年返済」に改められた。その結果、これまでに比べ当初五年間の返済額は増え、六年目以降の負担増は軽くなった。しかし六年目以降、毎月の返済額が増えることに変わりはない。ゆとり返済を使って金利三・二五%で1000万円を三十五年返済で借りる場合(毎月返済のみ)、当初五年間の返済額は月三万三七四〇円だが、六年目以降は月四万一六三〇円と約八〇〇〇円もアップする。「ゆとり返済の六年目以降の負担増が軽くなった」というのは、しょせん、程度の問題に過ぎない。賃金デフレが進行するいま、右肩上がりの昇給を前提にした「ゆとり・ステップ返済」は、バブル崩壊以前の「過去の常識」を引きずった、いわば時代錯誤のシステム。使わない方が賢明である。ゆとり・ステップ返済は返済期間が短いほど六年目からの負担が重くなる。二十年返済の中古マンションなどでは絶対に使わない方がいい。
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